【中野人インタビュー】「赤ちゃんとママの防災講座」代表・上沢聡子さん

きっかけは何もできなかった「阪神・淡路大震災」

1995年1月17日に発生した「阪神・淡路大震災」では6000人以上が亡くなりました。あれから22年。当時、高校3年生だった上沢さんは、実家である大阪に住んでいたため、センター試験翌日に地震に遭遇。多くの友人と音信不通になりました。上沢さんの実家は幸いにも壁にひび、屋根瓦が割れる程度でしたが、困っていた友人・知人のために何もできず、心残りのまま上京することに…。そして、出産後、子どもを守る術を知らない自分に危機感を抱き、「赤ちゃんとママの防災講座」を立ち上げることとなったのです。

首都直下型地震は30年以内に70%の確率で起きるといわれています。電気は7日間、上下水道は30日間、ガスは60日間、供給停止するとも。いざというときは避難所に行けばいいと思われているかもしれませんが、乳幼児連れでは周囲に気兼ねして居づらくなってしまい、先の震災では車内に寝泊りする方もいたほどです。乳幼児連れはいわゆる災害弱者。もちろん、毎日、育児に忙しいママたちは、防災のことまで考えられないかもしれません。そんな中でもできることはあります。例えば、いざ必要になったときに慌てないために、母子手帳やお薬手帳の写真を、自分や家族にメールしておいたり、クラウド上にアップしたりするだけでも立派な防災になります。まず、すぐにできる簡単なことから始めることが大切です」

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上沢聡子さん

緊急時に大切なのは「考えること」

上沢さんが主催する「赤ちゃんとママの防災講座」は、乳幼児連れのママ向け講座です。不定期で開催していますが、すぐに定員に達してしまうほど人気が高いのは、講座内容が充実しているため。気になるその内容について聞きました。

「不安だらけで何から手をつけたらよいか分からない、というママが多いので、赤ちゃんと一緒の地震発生24時間シミュレーションを最初に行います。停電、トイレが使えない、食事、スマホが使えず音信不通、寒さや暑さ、夜泣き、孤独……と課題をリストアップすることで、漠然とした不安を分解していきます。さらに時間が進むと、地震発生から1週間で、胃腸炎や口内炎が増え、衛生状態や栄養面のケアが必要となります。ならば、下痢嘔吐対応で経口補水液を自分で作れるようにする、野菜ジュースを少し多めに買っておく、という対策が浮かんできます。被災地の声に耳を傾け、ちょっと想像力を働かせれば、準備できることはたくさんあります。
頭を使うだけでなく、実技も取り入れているのも特徴です。たとえば、スリング。布を肩からかけて吊す抱っこひものことをいいますが、緊急時はバスタオルやガーゼケットでさっとくるんでスリングにしたり、子どもをパッと脇に抱きかかえて避難できるファイヤーマンホールディングを練習したり、レジ袋でおむつや生理用品を作る…と講座内容は毎回さまざまです。

「防災というとつい、防災グッズに頼りがちで、買うものが多くなりストレスを感じてしまう人も。もちろん常備していればいいのですが、災害時に自分の手元に必ずあるとは限りません。ですから、たとえモノがなくても乗り切るためには、あるものをどう工夫するか。自分で判断して行動する力を身に付けることが、この講座の一番の目的です。備蓄品は何が必要ですか? とよく聞かれますが、状況に応じて備蓄より大切なこともあります。いくら自宅避難が第一選択だといっても、火の手が近づけば逃げなければなりません。避難訓練と一緒で、緊急時の“考える訓練”が必要なんです。
そして忘れてはならないのは、地震発生の瞬間をまず生き延びること。自宅点検や、地域との付き合い方、外出時のアドバイスなども行います。これらの内容は、当日資料として配布します。現在、母子手帳ケースに入れられる、携帯型テキストを作成中です」

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赤ちゃんを安全に移送することができる抱き方「ファイヤーマンホールディング」(ひざまづいて抱え上げ、脇に密着させて、子どもの頭部を保護するのが大切)。片手が空けられるし、走ることもできます。練習することで、どこを支えれば安定するのかがわかるようになります。また、遊びの中で行うことで、赤ちゃんもママも体力アップにもなりますよ!

我が子を守るのは親です

災害時には誰もが右往左往することでしょう、と上沢さん。

自分の子どもを守れるかどうかは、親次第です! 緊急時には頭が真っ白になって考えられなくなってしまうこともあるかもしれません。でも、ちょっと落ち着けば、いろんな案が出てくるはずです。そんなときに知恵があるのと、ないのとでは全く違ってきます。外出先でおむつがないとしても、周囲を見回してこれは使える、これがあれば代用できる…といった工夫がきっとできるはず。代用できるものはいっぱいあり、それに気づくことができれば生き延びることにつながるかもしれません。少しでも不便さを解消する手助けになれれば、万一のとき思い出していただける知恵を身につけていただければと思います」

次回の講座開催については「赤ちゃんとママの防災講座」http://oyakobousai.wp.xdomain.jp/)で確認を。母子だけでなく、パパ、祖父母、妊婦さん、子育て支援に関心を持つの人の参加もOKです。

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講座風景。チラシでコップとお皿作り、安全なおくるみ抱っこに欠かせない真結びの練習をする参加者たち

お気に入りスポットは「Dance&Exercise Studio Libra(スタジオライブラ)」

「子連れで通える貴重なダンススタジオで、マタニティから今まで通っています。ヨガ、ピラティス、ベリーダンス、骨盤ストレッチ、ママビクスなどが楽しめますよ。何より子連れで運動できるというのがいいです。赤ちゃんからシニアまでが通えるスタジオですから、どんな方でも楽しめますよ!」

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Dance&Exercise Studio Libra(スタジオライブラ)
住所:中野区東中野4-4-5東中野アパートメンツ201
電話番号:090-1209-9449
URL:http://libra-ch.com/studio/
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今回の★なかの人
上沢 聡子(かみさわ さとこ)さん
「赤ちゃんと防災講座」主宰
大阪府出身。防災士、中野区防災リーダー、東京都防災語学ボランティア。
「日本の防災は世界一。海外や在日外国人にも広めたい」という将来展望があり、協力者・仲間を募集中だそうです
http://oyakobousai.wp.xdomain.jp/

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