中野上高田にある、日本の歌百選に選出された「たきび」のうた発祥の地

西武新宿線「新井薬師前」駅南口から徒歩5分。
商店街から少し中に入って奥へ進むと竹でできた垣根が見えてきました。

住宅街の中に竹の垣根が見えてきました。

住宅街の中に竹の垣根が見えてきました。


その垣根を曲がると碑が見えてきますが、少し奥まったところにあるので、ゆっくり歩いて探さないと見逃してしまいそうです。

「『たきび』のうた発祥の地」の碑。少し奥まったところにあるので、ゆっくり歩いて探さないと見逃してしまいそうです。

「『たきび』のうた発祥の地」の碑。少し奥まったところにあるので、ゆっくり歩いて探さないと見逃してしまいそうです。

2007年(平成19年)には「仰げば尊し」や「赤とんぼ」等の曲と合わせて「日本の歌百選」に選ばれた歌です。
この童謡は巽聖歌(たつみせいか:本名:野村七蔵1905~1973)の作詞で、岩手県に生まれ、北原白秋に師事した詩人で、多くの優れた児童詩を残した作詞家です。
巽聖歌は昭和5、6年から約13年間、萬昌院の近く、現在の上高田4丁目に住んでいました。現在でもけやきの大木がそびえ、垣根の続くこの一角は今も当時の面影をしのぶことができる場所です。
この周辺を散歩しながらこの曲が作詞されたのでしょう。

作曲した渡辺茂はこの作詞を見て「ほのぼのとした暖かい気持ちになり、こどもの心を捉えた詩だ。」と評しています。同じフレーズを2度目繰り返す箇所は、作曲にあたり子どもの高まった感情を表現するために、2度目の繰り返しの時に音程が高くなっています。子どもたちがワクワクしている様子が表現されていますね。

 太平洋戦争のさなかでは「焚き火は敵機の攻撃目標になる」、「落ち葉は風呂を炊くための貴重な資源だからもったいない」と批判があり、当時NHKの「歌のおけいこ」で放送されていましたが、それが中止されたそうです。

戦後は小学1年生の教科書にも掲載されるようになりましたが、消防庁から「町角の焚き火は危険」「防火教育にさしつかえないように考えて欲しい」等の要望があり、教科書に掲載する際には挿絵に焚き火と子どもだけではなく、大人と火消し用の水が入ったバケツが描かれるようになったとのこと。

最近の教科書にはちゃんとお父さんとバケツが描かれている。 教育芸術社発行「小学生のおんがく1」(平成8年版)より許可を得て転載。

最近の教科書にはちゃんとお父さんとバケツが描かれている。 教育芸術社発行「小学生のおんがく1」(平成8年版)より許可を得て転載。

曲の2番目にはしもやけの手が温まって、かゆくなるシーンがありますが、この歌詞に着目した化粧品会社が子ども用クリームの宣伝に使いたいとの申し出があったそうです。ですが、「教科書に載っている歌を宣伝に使うのは困る」と断ったそうです。

写真の左側には碑が見えます。こちらの敷地は個人宅ですので出入りはできません。

左に碑が見えます。

左に碑が見えます。

このように長い歴史を感じるこの歌ですが、北国で育った巽聖歌だからこそ「ぴいぷう」のような印象に残る単語を使い、私たち日本人の心に染みる暖かい歌であり、長い間歌い続けられている理由がわかりますね。

 

「たきび」のうた発祥の地
所在地 中野区上高田3丁目26
アクセス 西武新宿線「新井薬師前」駅より徒歩5分

※垣根で囲われた敷地内は個人宅となっておりますので無断での出入りはご遠慮ください

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※掲載情報は全て記事取材当時のものです。