【中野人インタビュー】明治大学 国際日本学部 専任講師 佐藤郁さん

2013年、和泉キャンパス(東京都杉並区)から、中野に移転してきた明治大学 国際日本学部。中でも注目したいのが「観光」を学び、ブログや動画で「中野の魅力」をPRしている佐藤郁先生のゼミです。「いつも温かい目で見守ってくれる」と学生から多大な信頼を寄せられている、同ゼミの専任講師・佐藤郁先生に、観光学から見た「中野という街」についてお話を伺いました。

 

人の温かさ・繋がりの強さは最大の魅力
中野の街や企業とゼミ生との交流も盛んです

中野にキャンパスが移り6年目を迎え、すっかり地元に溶け込んだ国際日本学部。学生たちを指導する上で、中野にはどういった魅力があるのでしょうか。
まず、人が温かい! 外から来た人もすごく受け入れてくれるんです。イベントも多いし、ちょっと誰かと繋がると、ほかの人にどんどん繋がっていって。企業や大学、商店街に区の観光部署、そして地域と繋がっている良さもあって、“観光”を学ぶのにちょうどいい大きさの街だと思います。ゼミでは学生たちに中野の街を知ってもらうために、『中野はしご酒イベント』というのをやっています。学生たちがお酒を飲むときは、どうしてもチェーン店になってしまいがち。なので中野ならではの個人経営の居酒屋さんにぜひ行って、その魅力を知ってほしいなと思いまして。そこで5店舗ほどに協力していただき、学生たちが各店を順番に廻るんです。それぞれのお店には観光協会の方や地元企業の方がいて、中野の街の話をしてくれる。予定では1店あたりの滞在時間は30分だったのに、すごく盛り上がって時間がどんどん延長(笑)。お店も観光協会の方も『若い人と話せてうれしい』って喜んでくださいます」

「佐藤ゼミの春合宿」では、中野のゲストハウスにみんなで宿泊

中野に本社を置く企業との交流も活発に行っています。
「(キャンパスの隣にある)キリンビール株式会社とは、中野セントラルパークビアパークで日本人と訪日観光客の交流を目的としたコラボイベント「GUEST BEER GARDEN ~浴衣で交流ナイト」をやりました。人が集まるか心配していたんですが、毎年ゼミの合宿をさせてもらっているゲストハウスでも宣伝した結果、盛況でした。こうやって人と繋がっていったり、地元の企業とやっていけるのは、中野ならでは。最近では『一緒にやろうよ』と声を掛けてもらることもあるので、これを繋げていく仕組みをどう作っていくかが課題ですね」

キリンビール株式会社とコラボした「GUEST BEER GARDEN ~浴衣で交流ナイト」の様子

 

“中野の魅力”は足で見つけて、ブログや動画で発信
学生ならではの発見も大事に

佐藤ゼミでは、学生によるブログと動画などで中野の魅力を発信しています。「まるっと中野」にもグルメや街歩きなどの情報を寄せてくれ、中には高いPV数(ページビュー)を誇る記事も。
「ゼミの学生を数チームに分けて、自分たちが気になることを調べさせています。学生には『とにかく歩いて、探す』ことを大事にしてほしくて。ただどのチームも中野駅周辺でネタを探しがちなので、なるべく中野のいろいろな所に行って、その地域との人と触れ合うようにとアドバイスしています。そうすると『インスタ映えスポットを探してきた』とか、『中野を縦にバスで横断してみた』とか、学生ならではの視点で、意外なものを見つけてくることもあります。またゼミ生の中には留学生もいるので、『東京の中の中野』というより、『海外から見た中野』という視点で記事を書いてくれることもあり、それを見た日本人の学生たちが刺激を受けています」



また毎年、「明治大学 国際日本学部×東京シティアイ×中野区」コラボレーション企画として、“中野に外国人観光客を呼び込むには”をテーマに、PR方法を競い合うコンテストを実施。今年は中野の魅力を伝えるポスター制作をテーマに、学生たちが渾身の作品を披露。その中から佐藤ゼミのチーム「Loco☆Jumbo」が優勝しました。
「ポスターを作るといっても、ゼミはグラフィックデザインが専門という訳ではないので、出来ばえよりも(外国人観光客を中野に呼びこむというテーマに沿って)どうしてこうなったかというプロセスが評価のベースになっています。学生たちは中野でインタビューしたり、東京駅や秋葉原で中野について外国人にインタビューしたり、“中野の外”で中野のことを聞いて、街を客観的に見たりしていました。こうした制作過程も評価されての優勝なので、学生たちは喜んでいたし、私もうれしかったです」
※ポスターは「東京シティアイ」(千代田区丸の内二丁目7番2号KITTE地下1階)で、3月末まで展示されています

優勝したポスターを手に、笑顔のチーム「Loco☆Jumbo」のチームメンバー

住人はもちろん、学ぶ人や働く人、遊びに来る人
いろんなユーザーが楽しめる街になってほしい

佐藤さんがしばしば言及するのが、観光地に住む人の「幸せ」。それを考えるようになったのは、大学卒業後に就職した旅行会社で商品(パック旅行)を作っていた頃の経験がきっかけだったといいます。
「私が就職した当時は、とにかく観光地にたくさんのお客さんを送り込むことが、現地の人の幸せなんだろうと思い、頑張って商品を作って魅力を伝えようとしていて。なので、どちらかというと“お客さん側の立場から商品を作って・売る”というのがメインだった。でも今は地域の人たちと一緒に商品を作ったり、『こうありたい』と考える姿や魅力を地域の人自身に伝えてもらう、という形にツーリズムが変わってきている。私が会社にいた頃はこうした考え方があまりなかったので、私の中でジレンマになっていってしまって。なので、もっと地域のことを知りたくて、観光学を学びました

中野の未来について、観光学という観点からこう考えます。
「中野の最終目標は観光地になることじゃない思うんです。まずは、住んでいる人がいて、その人たちが幸せにならなきゃいけない。“ただ人が来ればいい”というのではなく、地域の人たちが生き生きと楽しそうな様子を見て、また人が来る…という順番が大事かなと思います。中野は『都市観光』のエリアで、住んでる人や学ぶ人・働く人・遊びに来る人もいて、みんなが同じカフェでくつろいだり商店街で買い物して、観光客との分け目があまりない。なので今後はホストとゲストの境界があいまいになって、観光客にもなれるし、住んでいる気分になれるとか、いろいろなユーザーが楽しめる街になるといいなと思います。
中野に来た当初はネットワークもなくて大変でしたが、今では何かあるとあっという間に情報が広がるようになりました。大学は地域を繋ぐものだと思っていますし、特に『観光』をやっているのはウチ(佐藤ゼミ)だけ! だから地域と大学を繋ぐのが私の役割と思っています。これからも街の人たちと一緒に、中野という地域に軸を置いて、ゼミをやっていきたいです」。

 

【中野のお気に入りスポット】
中野セントラルパーク


学生たちも「センパ」と呼んでいる大好きな場所。
開放的な空間で落ち着くし、大学の近くなのでしょっちゅう行ってます。
私は公園が好きなので、哲学堂公園に学生を連れて行ったことも。
歩くのも大好きなので、中野の街もよく歩きますが、路線やエリアごとに違う雰囲気なのが、
中野のおもしろいところだと思います。

 

今回の中野人

明治大学国際日本学部専任講師 
博士(観光学) 佐藤郁さん

 津田塾大学学芸学部卒業後、旅行会社に勤務。
ロンドン大学大学院(UCL)空間計画学修士課程修了。
立教大学大学院観光学研究科博士課程修了。博士(観光学)。
立教大学観光学部兼任講師を経て現職。専門は観光学。
主に英国を中心に、ツーリズムを通じた地域連携や異文化理解など、
観光の持つ「力」をテーマに研究を行う

 

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