【中野人インタビュー】中野区商店街連合会会長 高橋宏治氏

いよいよ19日からスタートする「なかのまちめぐり博覧会2019」。中野区商店街連合会会長で、なかのまちめぐり博覧会2019の実行委員長も務める高橋宏治さんに、中野の街の話、博覧会の見どころなどについて伺います。

ちょっとした「やり方」で、組織をうまく回すコツ

–お生まれも中野区ですか?

「いや、北区で生まれて、まだ戦中でしたからすぐに疎開しましてね、小学校からは新宿区下落合で育ちました。うちの父がそこで床屋をやっておりまして、道路拡張に伴う移転で、私が二十歳のころにこちら(新井薬師前駅近く)に来ましたね」

–そして新井薬師駅商店会の会長さんになられたのが…

「29年前ですね。40代後半くらい。そのころ、ここの商店会は二つに分かれてて、くっついたり離れたりしていたんだけど、そうならないように仕組みを変えたんですよ。そしたら、本当は任期は2期4年なんだけど、なかなか交代させてもらえないんだよね」

–商店街連合会の会長さんも10年目になりますね

「そうね。連合会も多くの会の集まりだから、利害関係とかいろいろ問題が起こるんだけど、みんな好転していって。ちょっとしたやり方があるんですよね。それでいつのまにか10年になっちゃった。その間、中野区さんからもいろんな役割を頼まれて、だから私、50いくつあるんだよこういう(後ろにずらっと並んだファイルを指して)役職(笑)」

–「ちょっとしたやり方」に興味があります

「興味ある?これ、話し出すと大変長い話になるんですが・・・(笑)。まあ、結局人の問題です。人って合う合わないあるでしょ?そうならないようにするやり方なんだけど、リーダーってのは責められたり、批判されたりするものです。リーダーは苦情を聞く係だから。そうした時にこちらがどういう心でいられるか、穏やかでいられるか。何か言われてカチンときたその思いを止めて横に置く、っていうの?我慢するんじゃなくてね。我慢して、顔で笑ってうまくやっていればいいや、っていうんじゃ相手に伝わっちゃう」

「責めたり批判する側にも訳があるんだから、その相手の立場に立って、好転する要素を引き出せるか、ですね。いろいろ話をしながら、相手の人生を訪ねていく、っていうのかねえ。簡単にいうとそういうことです」

「うちの父がね、すぐカチンと来る人だったんですよ。急に常連さんが来なくなったなー、って思ってると『オレと喧嘩したんだから来れるわけない』なんて言うから、困ったな、これ、喧嘩するやり方じゃない方法がどっかにあるはずだ、とずっと思ってたんだね。それで37歳くらいの時に、ある勉強会に入ってね。人と理解し合うための訓練をしてきました。この会、有名な政治家さんとかもけっこう入られているんですよ」

–連合会は、たくさんの商店会が加盟していますから大変ですね

「64だと思います。実際には会費を払えない小さな商店街も入れるともう少しあるでしょう。でもそういうところほど街路灯ひとつ取っても取り替えが大変だから、相談にのったりもしていますよ。」

複数の組織が、横に横断できる仕組みができているのが中野区の強み

–なかのまちめぐり博覧会のようなまとまりが実現するのもすごいことですね

「これは当時の区長さんからこういう企画があるんだけど委員長やってくれないか、って話があったもので、行政の人ががんばってくれている結果ですよ。中野の場合は、商店街だけじゃなくて、商工会議所、法人会、町会連合会、といったいろんな組織がひとつのチームを組める仕組みがもうできあがっているんです。というのは、自分たちがそれぞれの組織で副会長だった時に、俺たちがリーダーになったら垣根を取り払って、みんなでやれるようにしよう、と話をしてたんですね。こういうまとまりはちょっと他の区にはないかもしれないね」

「たとえば中野通り桜まつりも、来年で34年になるのかな。最初は提灯300個くらいから始まって、今は2200個。当初はどこからも一銭ももらわずに、町会と商店街でやっていたんですけど、そのうち複数の町会で行うイベントに関しては助成金出しましょう、って東京都から話もらって」

「お祭りだけじゃなくて最近ではここの新井薬師前駅の踏切ね、朝は5分くらいしか開かない。立体交差化を単純に鉄道会社に要望してもなかなかうまくはいかないですよね。で、全国のまちづくりの成功例を勉強してみると、組織が広範囲でまとまっていないとなかなか国や都が話し合いに入ってこない、っていうことがわかったから、中野区内の西武新宿線5つの駅にまちづくり協議会を立ち上げて、それぞれ商店街の人間とか送り込んだんですね。そうしたら国交省や都から人が来てくれて、そうしていろいろ学んでね、今、地下化工事をやってます」

–地下なんですね

「本当は高架のほうがコストが低いんだけど、どの地下鉄とも繋がっていない西武新宿線としては将来の乗り入れの可能性を考えると地下化が受け入れやすかった、ということみたいですね」

今年の「なかのまちめぐり博覧会」、これからの「なかのまちめぐり博覧会」そして自身の今後

なかのまちめぐり博覧会2019パンフレット

 –なぜ「なかのまちめぐり博覧会」のようなイベントが7年も続いているかも、横の連携がしやすい組織作りがポイントなんですね

「そうかもしれませんね。各地域で例年行っているイベントを、この時期に組んでもらえれば、情報誌もあって、いろいろ発信できるし、いい宣伝にもなるから、ということで理解が広まって、だんだんイベントの数も増えてきましたね。パンフレットも都庁の1階に置いてあったり、JR中野駅さんに協力してもらって、近隣の駅にも広範囲に置いてもらっていて、年々認知度があがってきているのを感じます」

–今年の見どころ、というと?

「それはもうこの数ですからね、このパンフレットの中から面白そうだと思うものにみなさん足を運んでいただきたいんですが、ここでも特集してる、子供と一緒に楽しむ企画ね。中野駅の制服撮影会が最初に載ってるけど、何年か前から、中野駅発お座敷列車、っていうのを企画していて、今年も中野駅130周年記念で走ったんですが、子供にすごい人気があったね。それと地域イベントの特集に町会連合会のウォークラリーがあるけど、これは例年春に行われているのを今年はこの博覧会時期に合わせてもらったんです。あと区内にある多くの大学が、学園祭を博覧会の中でやってくれているのもありがたいですね」

–まだ始まってもいないうちになんですが、来年以降への展望、というと何かありますか?

「そうだねえ。それぞれのイベント間に共同の仕組み、というんですかね、たとえばスタンプカードみたいなの作って、イベントごとに参加すると押してもらえて、ある程度貯まったら共通商品券とか地域通貨に変えられる、なんていうのが実現できたら面白いかな、というのはありますね」

「それぞれのイベントの立て付けというか、イベントによって助成金があったりなかったり、っていうのもあるからなかなか実施するのに難しい問題でもあるんですね。行政に少しずつ理解を求めて、共同でできる仕組みを深めていきたいですね」

–ご自身の今後についてはいかがですか?何か、別なビジョンとか

「あと5年、80歳になったらね、こうした(並んだファイルの)役職類はもう勘弁してもらおうかな、と思ってますね(笑)。さっき話した勉強会はトータルライフ人間学、って呼ぶんだけど、人間は魂の存在であって、身体は仮の棲み家である、と。そして自分が元いた魂の世界に戻るときには、見返りを要求せずに得たものしか持ち帰れない、という考え方なんですね。だから、これまでお金ももらわずにやってきた私達だけでは、まだまだ解決できない問題もありますから、今後は、議員さんとかお給料をもらっている人にももっと頑張ってもらわないと(笑)」

–しかし、第二の高橋会長がそう簡単に登場するでしょうか?

「いや、見込みのある若い人はたくさんいますよ。私が会長になったとき、副会長は3人しかいなかったんですが、9人に増やして、どんどん若い人を入れたんです。もう3~4人増やそうと思ってます。みんな意識が高い人ですから、この先も全然大丈夫ですよ」

「で、私は、というと、先ほどからお話している、心が穏やかになる境地にいつでも簡単にはたどり着けるわけではないから、これからも勉強ですね」

 

高橋宏治(たかはし こうじ)

1944年 東京都北区生まれ
誕生後新潟に疎開し、横須賀の引き上げ寮を経て、小学校に上がる歳に新宿区下落合へ
二十歳の時、新井薬師前駅近くに移り、父親の理髪業を継ぐ(現ヘアーサロン Sense)
その後大学で心理学、宗教学を学ぶ
現在でも理髪業を営みつつ、多くの役職に就き、地域と行政を繋いでいる

中野区商店街振興組合連合会理事長
中野区商店街連合会会長
新井薬師駅商店会会長
西武新宿線踏切渋滞解消促進期成同盟副会長
ほか役職多数

 

【中野のお気に入りスポット】
哲学堂公園

「子供のころ下落合に住んでたので、近くですから哲学堂ではいつも遊んでました。当時は甘い鉄条網なんでどっからも入れましたね。建物もけっこう傷んでいたんだけど、前の区長さんとお話して、これからとても大切な中野区の財産になる施設だから、今のうちに直さないとダメだよ、って話して予算いただいて、建物の修復がだいたい終わったところです」

「井上円了さんは、世界中を旅しながら哲学の道を極めようとしたんだけど、この公園で、円了さんが決めた場所を歩くと、穏やかな気持ちになる、そんなプログラムとかあったら、いいと思わない?ただ眺めるだけの観光名所じゃないことが知れ渡ると、より来てくれる人も多くなるんじゃないかと。桜の木もね、あえてソメイヨシノじゃなくて、1000年持つような、しだれ桜とかそういうのに変えていったらいいんじゃないかな、と思って、いろいろ意見を出させてもらっています」

★哲学堂公園について詳しくはコチラ

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