【中野人インタビュー】中野区町会連合会会長 吉成 武男氏

長年中野区での地域活動に尽力されている、中野区町会連合会の会長である吉成武男さんに、今回はお話を伺います。

民生委員・児童委員として地域の信頼を得る

吉成会長の地域との関わりは25年ほど前に民生委員・児童委員に就任するところから始まります。民生委員・児童委員(以下民生委員と呼びます)は、地域住民の身近な相談相手として、生活の中で困っていることや、子育て・介護などの福祉に関する悩みについて相談を受け、住民と行政や専門機関をつなぐパイプ役として活動しています。

–民生委員になられたきっかけを教えてください

「その前にPTAの会長をやっていたので、地域とのつながりはそのあたりからですね。親の代から地元でずっと製造業をやっていたので、冠婚葬祭や町会活動も若い頃から手伝うことが多かったですし。で、50(歳)過ぎくらいの時に町会長から民生委員やってくんない?って言われて。正直、子供もまだ小さかったですし、家業も忙しいし、当時は民生委員ってどんな仕事かもよくわかっていなかったんですが、家内に相談したら、『他にやっている人知ってるけど、とりあえずやってみたら?』ということで引き受けたんです」

「そしたら僕が任期の2期目の時に、南中野地区の民生児童委員協議会の会長になり、そうすると中野区全体の会にも出席することになるんですけど『おお、若い人がきたー』なんて言われてね。こっちは『こりゃヤなとこ来たなー』と(笑)」

「4期目には中野区の会長になって今度は東京都全体の会に出ると、ここでも『若い人が来たー』(笑)。だいたい60代後半の人が多いんですね」

–民生委員の活動のご苦労などはどんなところにありましたか?

「住民がみな活き活きと、孤立せずに生きていける地域づくりを一番に考えて活動するのが民生委員なわけです。たとえば古い都営住宅なんかが中野にもありますけど、だいたい高齢者の人が多くて、みなさん相当嫌な思いをしているんですね。いろんな勧誘だとか、怪しい団体の押し売りまがいの人から狙われやすい。だから、昼間から窓もカーテンも閉めていたりする」

「でも電気メーターのスピードなんか見ると、わかるわけですよ、在宅してるのが。私がそこにスーツ着てカバンなんか持って訪問したら物売りに見られちゃうから、服装とかも気をつけてベル鳴らすんですけど、出ない。でも手紙は入れていくんです。階段降りて後ろ振り返ると少しカーテン開けてこっちを見てたりして、やっぱりいるんだな、と。そういうことを何回か繰り返して不信が取れて安心してもらえたら、次第に電話がかかってくるようになります」

「そうなると今度は曜日や時間に関係なく、困ったら相談があるわけなんで、それもまた大変ですね。具合が悪い高齢者がいればすぐ駆けつけて、場合によっては救急車に一緒に乗っていかなきゃいけないこともありましたね」

–それを15年も続けたのは大変でしたね

「民生委員を辞めたくはなかったんだけど、10年くらい前から区の社会福祉協議会の会長もやっていて、中野区町会連合会の副会長もやっていたので自分の地盤、担当地区を持つ民生委員を兼任するのは厳しかったです。社会福祉協議会と民生児童委員協議会は、地域福祉の両輪として活動しているわけですから、みなさんから了解していただいた上で、辞めることにしました」

個々のケアをしていた活動が町会にも活きる

吉成さんは民生委員として活動されてまもなく地元の多田町会会長にも就任し、お話にもあった中野区町会連合会副会長を経て、連合会会長として現在5年目になられます。

–町会連合会としての大きなテーマというか、今後の役割といったらどういうことになりますか?

「やはりこれからは見守り社会の形成と、災害に強い街づくりですね。今、学校がどんどん統合再編していっているんですが、それで取り組んでいるのが、小学校を地域コミュニティの核として動かしていく、ということなんです」

「一昨年、多田小学校と新山小学校が合併して南台小学校になったんですが、統合と同時に小学校区域に入る町会が5町会から7町会になるんですね。お子さん同士や保護者同士は交流が広がりますが、地域としてはなかなか一緒にならない。そこで前から地元の児童館でやっていたかっぱ祭り、って行事があるんですけど、もともと子供たちが100円ずつ出し合ってこぢんまりやっていたイベントを、町会でお手伝いしてもらえませんか?って相談があったこともあって、社会福祉協議会の助成金を使ってこのイベントの規模を大きくして、小学校でやったんです。大人たちは豚汁や焼きそばを無料で振る舞って、子供たちも出店を出したりして盛り上がるんです」

「そうすると、子供のいない若いカップルの人たちも集まるわけですよ。実行委員になっている大人たちも調理をお互い手伝いあったりしてね、それが狙いなんですが」

「そうすればまず会ったら会釈するくらいの関係は作れるでしょ?災害時にはお互いに知っている関係をどれだけ作れるか、ということが基本ですから。かっぱ祭りの時に防災訓練もやって、春にはまた7町会合同で防災訓練をやるんです。その時はカレーライス出してね」

「最初は100人くらいでやっていたかっぱ祭りが、先日は1100人も集まりましたよ。そうして実績を重ねると今度は東京都からの助成金を利用して、より大掛かりなイベントにできるんです」

2019年のかっぱ祭りの様子

–子供のいない若い人、逆に子供が巣立っていった高齢者にとっても、小学校が、いざという時集まる場所になるわけですね

「中野区だけでも107もの町会があって、全地域に学校があるわけではないですから、その地域の環境や特徴に合わせていかなかればいけないのも確かです。とにかくみんなの声を聞きながらやっていく、ということでしょうね。その意味では、民生委員を15年やらせてもらったのは勉強になってますね。社会福祉協議会もね。地域をまとめるには、福祉を知っていると強いですね」

「民生委員は基本、マンツーマン。しかもいい話はないんです。相談、って困った時にするものだからね。それでもまずは聞いてあげて、わからないことがあれば勉強して、っていうのを繰り返してノウハウが付いてきたと思います」

自発的に考えてもらった地域活性化イベント『中野Loversウォーク』

–先日行われた「中野Loversウォーク」は全区民が参加できるイベントでしたね

「町会連合会会長になってまず、規約改正検討委員会ってのを作って、町会の活動の幅を広げようと思ったんですね。次いで地域活性化委員会を作って、町会の加入率をあげるためのイベントを考えてもらって。そういう中からでてきたアイデアをまとめて昨年度初めて実施したのが第一回目。でも検討に時間がかかったので、年度末ギリギリの2月のちょっと寒い時期の開催だったんです」

「しかも昨年度はクイズラリーにして、町内の掲示板を回ってクイズに正解するとプレゼントがもらえる、っていう形式のウォークラリーにしたんですが、いかんせん問題が難しすぎた(笑)。でもクイズに正解したい子供が親を誘ったり、友達を誘ったり、っていう効果はあったんです」

「今年度はなかのまちめぐり博覧会の開催中で、歩くのにも一番気持ちいい季節でしたし、昨年度の経験を踏まえ小中学校でも告知をかけた。さらに今回は内容も簡単にして多くの人に気軽に参加してもらえるようにしたんです。インスタを使ったフォトコンテストは若い人でも参加しやすいですしね。その結果、去年の600人も悪くないとは思うんですが、今年度は締め切り前(インタビューは締め切りより少し前)ですでに1000人超えています」

–「町会の加入率をあげる」というお話がありましたが現在どれくらいなんですか?

「概ね5割程度だと思います」

–それは平均より低い・・・?

「どうでしょう、都市部においては高いほうじゃないかと思います。中野、って『山手の下町』っていう感覚がありますよね」

災害や高齢化に向けた見守り社会の実現に町会ができること

–最後に、これからの中野の街に対するビジョンというか、こういう街になっていってほしい、というようなご意見があったらお聞かせ願えますか?

「それはもう、繰り返しになりますけど、見守り支えがしっかりしていて、災害に強い街になる、っていうのが基本なんですよね」

「先日の台風19号の時、避難所を設置したら、若い人がけっこう集まってきた。あんまり想定していなかったです。今度の台風はこれまでにないくらい大型だ、身を守る行動をしましょう、といった報道がなされて、今回ばかりは普通じゃないんだ、と思った若い人たちが、どこに頼ればいいんだろう?と集まったんだと思います。そういう情報が一番早いのが町会ですから、これからはそういう若い人たちにも、できれば町会に入ってもらいたいですね」

「集合住宅は全体的に町会加入率が低いんです。そうした集合住宅ほど高齢化が進んでいるのが現状ですからね。これからの課題だと思います」

「中野区町会連合会の事務所は区役所内にあります。これからも『山手の下町』的な気質を活かして、住みやすい街を作っていけたらいいですね」

 


吉成武男(よしなり たけお)

1944年中野区生まれ(75歳)
50歳で民生委員、50代半ばで地元の町会長
65歳から社会福祉協議会会長と町会連合会副会長
70歳で町会連合会会長
75歳で東京都町会連合会副会長

 

【中野のお気に入りスポット】
広町みらい公園

「今年夏にオープンしたばかりですが、中野区内でもかなりの大規模公園じゃないでしょうか。水場で子供たちが遊んでいる横から、いつもバスに乗るんです。僕が小さいころも実は子供たちの遊び場だったんですよ。確か温室みたいなのがあってね。その後長いこと公務員宿舎だったんですが、また子供の遊び場として戻って来た。園内に丘みたいのがあって、そこに上がると新宿がよく見えて、夜景がキレイですよ」

★広町みらい公園について詳しくはコチラ

★中野区町会連合会の公式サイトはコチラ

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