【中野人インタビュー】トムス・エンタテインメント社長 竹崎忠氏

“サブカルの聖地”と呼ばれている中野。中野ブロードウェイを中心に、アニメ、漫画、ゲームを中心とした様々なジャンルの施設が集まっています。

そんな中野に本社を構える株式会社トムス・エンタテインメントは、『ルパン三世』や『それいけ!アンパンマン』『名探偵コナン』など、半世紀以上にわたって数々の名作アニメを世に送り出してきた老舗のアニメーション会社です。前身である東京ムービー時代を含めると、制作してきた作品の数は実に440タイトル以上!歴代のタイトルが掲載されている公式サイトのページを見れば、みなさんが知っている作品がいくつもあるはずです。

 今回の中野人は、トムス・エンタテインメント代表取締役社長の竹崎氏にお話をお伺いします。

 

20年前にも“縁”があった、中野のまち

–竹崎社長は関西出身だとお聞きしています

「はい、兵庫県の神戸市出身です。関西で6年間社会人を経験した後に東京に移って、株式会社セガで22年間、広報・宣伝・マーケティング、キャラクタービジネス等の仕事に携わってきました。2008年からトムス・エンタテインメントの取締役、常務取締役を経て、2019年に代表取締役社長に就任いたしました。」

 –中野へ来るようになったのはトムス・エンタテインメントの取締役に就任以降、ということでしょうか

 「トムスが中野に本社を移転したのが2012年なので、そこからですね。ただ、実はその前に中野に半分住んでいたような時期があるんです。今から20年前、中野に住んでいた友人が数か月にわたって海外を旅した際に家の管理をお願いされまして。当時私の家は横浜だったのですが、この期間、平日は中野の友人宅で暮らしていました。」

–20年前というと2001年ごろでしょうか。その時の中野の印象はどうでしたか

「なんとも雑多で楽しげなまちだな、と思いましたね。新宿や池袋から電車で数分で来れる近さもあって、都会という属性を持ちながらも、住宅街ならではの生活感も融合している。中野サンモールのような活気のある大きな商店街や、ちょっと路地裏に入れば隠れ家的なお店がたくさん立ち並んでいるのも、新宿のような大都会とはまた違う魅力が当時からありました。あと、今ほどでないにしても“サブカルのまち”としての片鱗も見え始めていた時期でもありますし、中野ブロードウェイには少し変わった衣料なんかが売っていたりして、個人的にはすごくおもしろかったです。そんな中野に再び通うことになったのは、何かしら“縁”を感じますね。」

アニメは日本を代表するコンテンツ

–アニメは現在の日本ではどのような立場にあると思いますか

「私が子供の頃は、アニメーションや漫画は “教育的に良くないもの” と言われていた時代でした。そんな時代を乗り越えて、今では日本を代表するサブカルチャーの中核コンテンツになっています。子供の頃アニメを見た人たちが、大人になって新しいアニメを作り、そのアニメを見た人たちが、大人になってまた新しい作品を作っていく…。こういった流れの中でアニメの文化・市場は育ってきたんです。」

「昔と比べて作画やCGの技術が飛躍的に進化し、表現方法のバリエーションが増えましたが、“絵が動く”というアニメーションの本質は変わっていません。しかし、“アニメは子供が見るもの”という考え方から、“大人も楽しむエンターテインメント”、というように認識については大きく変化しました。トムスを含め、日本のアニメ業界はその変化を取り入れ、作品作りに反映しています。」

「例えば国民的人気のある『名探偵コナン』なども、TV放映版は内容がお茶の間で子供たちが観ることを前提に作られているのに対し、劇場版については大人が見ても十分楽しめるような深い物語やダイナミックな演出を意識しています。こうすることで、子供の頃にファンだった人たちが大きくなっても、劇場版で作品を楽しむことができるわけです。このように見ている人たちの成長に合わせた、幅広い世代に受け入れられる作品作りを重視しています。」

–確かに大人のアニメファンも世界中にいますよね 

「世界中にアニメファンはどんどん増えています。アメリカ、ヨーロッパ、そして世界中の国々と、文化や人種、世代も性別も違う人たちが同じ作品を好きになるっていうのは、考えてみればすごいことですよね。日本のアニメコンテンツはそれだけ魅力的なんです。今はオンデマンドでのアニメ配信が主流となってきましたが、Netflixにある全タイトルを対象にした、世界100カ国の人気作品ランキングで『七つの大罪』や『バキ』シリーズが50カ国以上でトップ10入りしています。」

「そんなアニメコンテンツを制作する企業が、東映アニメーションさんや、今『鬼滅の刃』で大きな話題のufotableさんをはじめとして、ここ中野や高円寺周辺にいくつも集まっています。もちろんトムス・エンタテインメントもその一社です。中野から世界に通用するコンテンツを生み出しているわけですね。これからも積極的に新しいチャレンジを続けていき、日本のアニメコンテンツを牽引する作品を作っていきたいと考えています。」

中野を拠点として

 –中野へ本社を移転されてから8年経ちますが、今後の中野との関わり方について何かお考えですか

「これまでも地元のお祭りにアニメ関連グッズを提供させていただいたり、『パンダコパンダ』の着ぐるみがイベントに参加したりしてきました。今後はアニメ制作に興味のある人たちに対して、社内スタジオ見学や講演会の実施なども考えたりしています。これだけアニメの存在感が強い日本ですから、アニメキャラクターをまちづくりの中で活用できないか、なども考えていますが、いずれにせよ大々的なイベントを主催するというよりは、小さく細かくだけど地元に密着した関わり方ができればいいなと思っています。」

「ただ、中野のまちが、アニメ・サブカル一色になる必要はないと思っています。中野というまちは、中野ブロードウェイをはじめとした商店街があり、飲み屋街があり、中野四季の森公園があり、中野サンプラザがある。いろんな文化がギュッとつめこまれた場所なんです。20年前に感じた印象の話でも言いましたが、雑多でにぎやかなところが中野の魅力です。そういった様々なものが融合したまちとして発展していけばいいし、アニメもその一部として暮らしの中に融合していけばいいと思います。我々は“アニメーションの総合プロデュース企業”として、そのお手伝いをしていきたいと考えています。」

–是非よろしくお願いいたします 

 「…手始めに中野駅の発車メロディーをアニメの曲に変えてみるのもいいかもですね。JR、東京メトロと中野駅にはたくさんのホームがあるので、ホームごとにメロディーを変えても面白いかもしれません(笑)」

お気に入りのアニメ作品

–竹崎社長には特別にこのご質問をさせていただきたいのですが…

「難しい質問ですね!最近の作品ですと色々と角が立ってもいけないので、ここは自分が幼少のころ影響を受けた作品で…(笑)個人的には『侍ジャイアンツ』や『荒野の少年イサム』…もちろん『ルパン三世』も好きです。どれも再放送で見ていたのですが。」

–昔の関西圏ではお昼12時からの『ルパン三世』再放送が定番でしたからね

「あとは『エースをねらえ!』でしょうか。ただのスポーツアニメじゃない、その深い物語は一見の価値ありですので、みなさんに是非見て欲しい作品です。」

 

 

【中野区のお気に入りスポット】
中野ブロードウェイ
 
「お気に入りはやはり中野ブロードウェイです。立場に関係なく、いちアニメ・漫画ファンとして、とても楽しめる場所です。グッズに関しても面白いものが見つかったりしますし。昔見ていたアニメや漫画のことを思い出しながらまわっていると、あっというまに時間が過ぎてしまいます。」

★今回の中野人

竹崎 忠(たけざき・ただし)
1987年にCSK(現:SCSK)に入社。
1993年よりセガの広報、キャラクター部部長などを経て、
2019年にトムスの代表取締役社長に就任。

 

★トムス・エンタテインメントの公式サイトはコチラ  

<最新作 作品情報>
■劇場版第24弾『名探偵コナン 緋色の弾丸』
2021年4月16日(金)公開予定
公式サイト:https://www.conan-movie.jp/
■劇場版第32弾『それいけ!アンパンマン ふわふわフワリ―と雲の国』
2021年6月25日(金)公開予定
公式サイト:https://anpan-movie.com/2020/

©モンキー・パンチ/TMS・NTV
©やなせたかし/フレーベル館・TMS・NTV
©やなせたかし/アンパンマン製作委員会2019
©青山剛昌/小学館・読売テレビ・TMS 1996 
©2020 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会
©渡辺航(週刊少年チャンピオン)/弱虫ペダル04製作委員会

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